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シリーズ「愛犬と生きる」その2 愛犬と散歩中に野生猿の群れに囲まれたら

 「犬猿の仲」と申しますが、本当に犬と猿は仲が悪いのでしょうか?「犬猿の仲」の語源をネット検索してみました。神様が十二支を決めるため動物を呼び出した際に、犬と猿は仲良く一緒に神様のもとへ向かっていました。ところが、途中で猿が犬にいたずらを仕掛けて先に到着したことから犬は猿を恨むほど嫌いになったとか、縄張り意識の強い猿は猟犬に出くわすと激しく威嚇するので、それを見た人間が犬と猿は仲が悪いと思い込んだとか、昔から人間と近い距離で生活している犬は、飼い主を含む自分の縄張りを守ろうとするのに対して、猿は群の縄張りを守ろうという意識が非常に強く、対立し合う両者の性質の違いが由来となったとか・・・これ以外にも諸説あり、犬と猿は仲が悪いものだと思い込んでいる人は少なくありません。
 私の家は徳島県鳴門市大麻町というところで、近所では猿が頻繁に目撃されます。群れから離れて近所の家のフェンスに上っている猿(写真1)も見かけますが、群れで生活していることがほとんどです。テレビで猿が街中に出没したというニュースを見ることもありますが、我が家の近所では当たり前のことです。実際に調査した訳ではありませんが、大きな群れになると目測で2,30匹で行動しています。犬の散歩では時々群れに出会しますが、犬と一緒だからという安心感と、犬と一緒だと刺激しないだろうかという不安が混在しています。
 かんた(令和元年5月1日:令和の初日にアップした、『シリーズ「愛犬と生きる」その1 飼い犬に手を噛まれたら』参照)が生きていた頃のことです。初夏の朝で天気も良く、散歩するにはとても気持ちの良い日曜日でした。いつものようにかんたと散歩に出ましたが、散歩日和ということもあり、いつもと違う長めのコースを選びました。かんたも気持ちが良かったのか、老犬にしては軽快に私の前を軽快に歩きました。普段は人が立ち入らないような遊歩道を上っていた時のことです。すぐ近くで小猿の甘えたような声が聞こえました。立ち止まってあたりを伺うと、右に小猿を連れた数匹の猿。左にはさらに多くの猿。そうです、猿の群れの中に入り込んでしまったのです。若い頃のかんたは遠くの猿にも敏感に反応していましたが、すでに老犬となってしまったかんたには、猿の群れに入り込んだこともわかっていないようでした。先に気がついた私はちょっとしたパニック状態で、その場で立ち止まりました。猿にしてみれば、犬を連れた人間が群れに入り込んだわけですし、小猿も一緒なので黙って見過ごされることはないと思い、静かに、でも、迅速にかんたのリードを引っ張りながら後ずさりし、群れを出たと思われるところで、全速力で逃げ帰りました。
 異常気象により森の木の実が減ったのか、最近ではいよいよ我が家の近くまで猿が出没するようになりました。今年の春には、我が家のフェンスに上って防鳥ネットを掛けた庭のさくらんぼを狙っていました(写真2)。残念ながら写真は撮れませんでしたが、我が家を訪れたのは初めてのことです。また、その数日後には我が家から数十メートルのところを散歩中に猿と遭遇しました(動画1)。これ以上のご近所付き合いは勘弁してほしいものです。
 ニホンザルは人間に近い感情をもっていると考えられています。自分の感情に素直なため、理性で抑えることはなく、個体によってはかなり攻撃的なこともあり、野生のニホンザルにはむやみに近づかないほうが賢明のようです。とくに、春から夏の繁殖期では群れに小猿がいるので、警戒心が強いイメージがあります(個人的な実感)。ニホンザルと遭遇したら、目を合わせないようにしてそのまま立ち去るのが一番のようです。これを最後まで読んで頂いた方々のご参考になれば幸いです。
 次回(いつになるかわかりません)は、シリーズ「愛犬と生きる」その3 愛犬の加齢と認知症、そして別れ、を予定しています。

永尾寛

写真1:群れから離れて近所のフェンスに上っている猿
写真2:猿が上っていた我が家のフェンス
動画1:ごく近所を散歩中に猿と遭遇

ごく近所を散歩中に猿と遭遇